特集記事

第9回

グリーンファイナンス推進など3本柱を提示
都が「国際金融都市・東京」構想改訂案を公表

 東京都は2021年7月、「国際金融都市・東京」構想の改訂案を公表した。2017年11月に「構想」を策定した後、ブレグジット、アジア情勢の変化、新型コロナウイルスの世界的な蔓延など、国際金融を巡る環境は大きく変化している。こうした環境変化に的確に対応するため、改訂案は施策の柱として、(1)社会的課題の解決に貢献する分厚い金融市場の構築(東京のグリーンファイナンス発展に向けた戦略的な取組である「Tokyo Green Finance Initiative」(TGFI)の推進)(2)フィンテックの活用等による金融のデジタライゼーション(3)資産運用業者をはじめとする多様な金融関連プレーヤーの集積の3つを掲げた。これらの施策の展開について、国内外へのプロモーションを積極的に行うことで世界をリードする「国際金融都市・東京」を実現することを打ち出した。

 同構想改訂案ではまず、世界に冠たる金融都市としての地位を確立する上での東京の強みと課題を分析。東京の強みとして、わが国が約1900兆円もの個人金融資産を有し、その過半が「現金・預金」(2021年3月末で54.3%)であり、成長分野に提供できる潜在的な資金力、資金運用事業者のビジネス機会がともに大きいことを挙げた。また、日本は国内総生産(GDP)が世界第3位で投資先となる企業やプロジェクトには事欠かないこと、上場株式時価総額が世界第4位の東京証券取引所の存在、政治的安定性、治安の良さなども都市として大きなメリットだと指摘した。

 その上で、東京が目指すべき国際金融都市の姿は、米ニューヨークや中国・上海のように、多様な企業やプロジェクトの存在に基づく資金需要や資金供給力を吸引力として国内外の資金需要に世界中の資金を結びつける「実経済バック型」だとした。また、将来的には、新たな金融商品を積極的に市場に取り込み、世界に先駆けてマーケットを拡大させていく、英ロンドンのような「情報・知識集約型」の機能も兼ね備えることも重要な視点となるとした。

 

 一方、そうした方向に進むために、東京が取り組むべき課題としては、世界的に発展するグリーンファイナスへの対応、金融におけるデジタライゼーションの推進、資産運用業者等の多様な金融関連プレーヤーの集積促進を挙げた。

 そして、東京の強みを生かし、課題に対応するため、前述の施策の3本柱を掲げ、それぞれの具体的内容も示している。


「国際金融都市・東京」構想改訂案 | 東京・サステナブル・ファイナンス・ウィーク

 1本目の柱となる「社会的課題の解決に貢献する分厚い金融市場の構築」(TGFIの推進)では、主な取組として、環境投資に関する企業の取り組み等に関する情報プラットフォームを整備するほか、グリーンボンド発行主体への支援等を通じ、グリーンファイナンス市場の発展を促すとした。また、中小企業のグリーンファイナンス活性化や個人投資家の取り込みによってプレーヤーの裾野を広げていくとともに、都が先進的な環境施策を推進しながら、優れた環境技術を有する企業を支援したり、サステナブルファイナンスの担い手を育成したりする施策の展開についても言及した。

 2本目の柱の「金融のデジタライゼーション」では、海外フィンテック企業の誘致と創業支援、国内フィンテック企業の成長支援に加え、資産運用事業者のデータ利活用促進、金融機関とフィンテック企業の協業推進を進めることで、「資金の繋ぎ手」のデジタル化を促進することとした。さらに、実体経済の中でキャッシュレス化を進めるため、都庁内施設や都民利用施設などでキャッシュレス化を図り、都民の利便性向上等につなげていくことも打ち出した。

 3本目の柱の「多様な金融関連プレーヤーの集積」では、資産運用業者等の誘致を推進するため、魅力的なビジネス面・生活面での環境整備等を進めるとともに、資産運用事業者の創業・成長を支援すべく、経営基盤の整備やビジネス機会の創出等を進めるとした。さらに金融系人材の育成や都民の金融リテラシーの向上に取り組むとした。

 

 また、これらの3つの柱に基づく取組の実効性を確保するための基盤として、「構想」や多様な取組に関するプロモーションを展開することとし、日本初の官民連携金融プロモーション組織である「FinCity.Tokyo」やJETRO等と連携した国内外向けプロモーション活動を推進するほか、都内企業の英語による情報発信等を支援することとしている。

 

 こうした構想の実現に向け、国やFinCity.Tokyo、金融業界をはじめとする民間事業者、大学・研究機関、City of Londonなど多様な主体と連携を図ることとした。

 

 そして構想の達成度を検証しつつ取組の深化を図っていくため、施策の第一の柱について、世界のサステナブル投資残高に占める日本の割合、国内のグリーンボンド発行金額、都民のグリーンファイナンスへの関心についてのアンケート調査結果、施策の第二の柱について都内のフィンテック企業数、キャッシュレス決済比率、施策の第三の柱について都内の資産運用事業者・フィンテック企業数、構想の推進を通じた金融産業の活性化について都内GDPの押し上げ効果を、それぞれKPIとして設定した。

 

 この「国際金融都市・東京」構想改訂(案)については、東京都政策企画局のHPに掲載している。

 東京都政策企画局HP: https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/pgs/gfct/vision/kousou-kaitei.html 

 同構想において、都は投資家が財務情報だけでなく環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の情報を踏まえて企業への投資を判断する「ESG投資」を促進する施策に着手している。具体的には「東京金融賞」でESG投資部門を設け、ESG投資の普及を実践している事業者を募集している。ESG投資部門は、2021年9月28日(火)までの募集である。詳細については、「東京金融賞」HPに掲載している。

 東京金融賞HP: https://www.finaward.metro.tokyo.lg.jp/

 受賞者については、2022年2月の表彰式で表彰される予定となっている。



 制作:株式会社時事通信社 総合メディア局

Tokyo Sustainable Finance Week(東京・サステナブル・ファイナンス・ウィーク)」は、東京都からの委託を受け、株式会社時事通信社が運営しております。