特集記事

第3回

ウィズコロナ/アフターコロナ時代のサステナブルファイナンス

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、国際通貨基金(IMF)は6月の世界経済見通しで、世界経済の成長率が2020年はマイナス4.9%となり、類例のない危機であるとの見通しを発表しました(i)。このような未曽有の危機に瀕している状況下、サステナブルファイナンスにはどのような影響があるのでしょうか。

コロナ時代のサステナブルファイナンスに関して、様々な調査結果が発表されています。これらの結果が共通して示唆しているのは、コロナ禍において、サステナブルな企業のパフォーマンスが平均よりも高いということであり、ESG投資の有効性を示しています。

例えば、Schrodersの調査によると、2020年1月~3月における米国株式市場におけるESGランキング上位20%の銘柄のパフォーマンスは、市場平均を大きく上回る結果になりました(ⅱ) 。また、MSCIの報告によると、2020年1月~4月にかけて、SRIをはじめとしたESG目標を開示するMSCIの4つのインデックスと、気候関連目標を開示する2つのインデックスの双方が、市場平均(MSCIワールド・インデックス)を大きく上回りました(ⅲ)。

WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)によると、WBCSDメンバー企業の株価は、主要な株式取引所のベンチマークを大きく上回る結果となっています。北米市場では8月中旬に、ニューヨーク証券取引所とナスダックに上場しているメンバー企業の株価指数は、S&P 500の株価指数を18.8%上回りました。これらの企業は、変動の激しい市場においてもレジリエンスを発揮し、危機的な安値から早期に回復しています。欧州においても、WBCSDメンバー企業は景気後退を乗り切り、ストックス欧州600指数を5%上回りました。アジア市場でも、中国やインドにおいて4月下旬時点で、ベンチマークをそれぞれ7.5% 、9.4%上回る結果となりました。日本では、日経平均株価が年初来安値を更新した3月時点で、WBCSDメンバー企業の平均値は日経平均よりも高値となっており、相対的に、リスクを軽減できたと言えます(ⅳ)。

アフターコロナの経済回復に関して、注目されているのが、「グリーンリカバリー(緑の回復)」や「サステナブル・リカバリー(持続可能な回復)」という考え方です。コロナ危機で縮小した経済を回復していくプロセスにおいて、環境を犠牲にするブラウンな経済回復ではなく、グリーンでサステナブルな復興を実現し、より持続可能な社会へ移行していくことを目指します。

欧州をはじめとする各国政府は相次いでグリーンリカバリーの政策を発表しました。日本においては、環境省が、経済社会活動の再開を、脱炭素社会への移行、循環経済への移行、そして自立分散型社会への移行という3つの軸で進めていくことを表明しました。9月には環境省と経団連で「環境と成長の好循環に向けたコロナ後の経済社会の再設計(Redesign)-脱炭素社会実現に向けた環境省・経団連の連携に関する合意-」を発表し、気運を高めようとしています(ⅴ) 。

グリーンリカバリーやサステナブル・リカバリーの波は、投資家や企業の間でも広まっています。国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)やPRI、CDP、投資家グループ等が参加する、ネット・ゼロ経済に向けたイニシアチブである「Investor Agenda」は、コロナ危機からのサステナブル・リカバリーを求める声明を発表しました (ⅵ)。また、155社のグローバル大手企業のCEOが、各国政府にグリーンでサステナブルな経済回復を求める声明に署名しました(ⅶ) 。

このように、コロナ危機からの経済回復に当たり、持続可能な社会への移行を進めていくことが、世界的な潮流となっています。ウィズコロナ/アフターコロナ時代において、サステナブルファイナンスの果たす役割は益々大きくなってきていると言えます。

次回は、個人投資家にとってのサステナブルファイナンスをご紹介します。

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